訳者序
これは恐るべき記録である。旧ソ連・KGB国家秘密警察による、宗教破壊のための極秘計画を明らかにする手記なのだ。著者は「世界最高の秘密結社」から、宗教破壊担当に任じられ、ローマに送り込まれた秘密工作員だった。
この本は出版するために書かれたものではない。彼の日記に過ぎず、いずれ処分される運命にあった。だが、予期せぬ出来事から、この極秘の手記が露見する事態が起きた。著者は、一九六〇年代にフランスで交通事故に合い、急遽運ばれた病院で息を引き取ったのだ。
付きっきりで看病に当たったカトリックの看護婦、マリー・カールは、身元確認のために、唯一の所持品だったアタッシュケースを開けた。そこから、一〇〇枚近くの紙にタイプ打ちされた、ほとんど自叙伝に近い日記を発見した。
著者の名は「AA1025」としか書かれていなかったが、日記には、彼の行なってきたことが詳細に記録されていた。
そこには、ポーランドの孤児がいかにしてソ連秘密警察の最高幹部の養子になり、無神論を世界に蔓延させるスパイとして養成されたか、カトリックの内部崩壊を誘うために、彼がいかにして司祭になり、神学校でどのような破壊計画を立案、実現に運んだかが書かれていた。
暗号名AA1025は、「一〇二五番目の偽司祭」の意味だった。彼は、世界最大の宗教、ローマカトリックを内部破壊する、一〇二五人目のスパイ司祭として送り込まれたのである。
この日記に書かれている、カトリック破壊の極秘計画は、一九六〇年代初頭の第二バチカン会議以来、教会に起こっている大変化に無気味なほど符合する。
対面ミサへの変更、跪きの廃止と手による聖体拝領、グレゴリオミサの廃止、祭壇のテーブル化などの典礼の「刷新」、カテキズム(要理)の改変、新共同訳聖書の破壊的「意義」も明らかにされている。読めば読むほど、現状との符号に驚愕せざるを得ない。
これらは、「刷新」と呼ばれ、和解を中心テーマとする今日のキリスト教においては前向きな改革と見られているが、刷新は表の事実でしかない。刷新を隠れ蓑とする、神を死に至らしめる計画が、この半世紀に極秘で進められてきているのだ。
彼らが最終的に目指しているのは、全世界から宗教と名の付くもの、信仰と名のつくものを、すべて滅ぼすことにある。カトリックはその踏み台に過ぎない。
ソ連崩壊に伴って、共産主義は力を失っているように見えるが、解体以前に彼らがばら撒いた破壊の種は、確実に成長している。著者は、第三バチカン会議で教会にとどめを刺すとまで言っている。それは、世界統一宗教に橋渡しする、世界普遍教会を樹立するためなのだ。
本書は、衆人の預かり知らぬところで暗躍する、最高の秘密結社、イルミナティの極秘宗教戦略を暴露する、貴重な内部資料のひとつである。
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