2014.11.21

『各司教協議会宛の書簡』は当初、御聖体拝領のもう一つの方法として「拝領者自身に聖器から直接ホスチアを取らせること」を提案していた  Part 2

 (前回からの続き)

 その「断片」とはここのことである。(強調表示は管理人)

ついでながら、三つの奇妙な小事実をしるしておきます。

(…)

② この、「書簡」は、原文に更に付け加える、つまり、勝手に教書「メモリアーレ・ドミニ」に全然ない次の新しい規定をでっちあげて提供する:『もっと簡単(!)なやり方(!)も取り入れることができる。それは、拝領者が自分で、聖器から直接に、ホスチアを掴むことです』

舌の上に受ける御聖体拝領の弁護(1982年9月21日

 その「書簡」とは『各司教協議会宛の書簡』のことである。マリ-ジャック神父様はその中に「御聖体拝領の方法」に関するそのような “提案” が書かれていると言うのである。しかし、私達が今、日本の中央協議会から出された本の中のそれ(上のリンク先)の中を見ても、そんな文言は見当たらない。

 しかし、私は調べ、確認したから言うが、本当は「ある」のである。「あった」のである。元々は「あった」のだが、この書簡が書かれた数年後から、その部分は〈省略〉されるようになったのである。その箇所はどこかと言えば、中央協議会からの本で言えば、下の「〔中略〕」の部分である。

4 拝領の具体的方法については、古代教会の伝統が伝えている方針に従うのがよいでしょう。
 司祭または助祭が、拝領者の手に聖体を置くという伝統的な方法は、司祭と助祭の奉仕の役割をはっきり表しているからです。〔中略〕 どの方法を用いるにせよ、信者は自席に戻る前に聖体を拝領し終わるようにしなければなりません。また、奉仕者の役割は、「キリストのからだ」という定句によって強調され、信者はこれにアーメンと答えます。

カトリック儀式書 ミサ以外のときの聖体拝領と聖体礼拝
(1989年6月1日、カトリック中央協議会発行)既出参照

 この「〔中略〕」は私によるものではない。中央協議会からの本の中に印字されているものである。しかしまた、日本の翻訳者が勝手にしたものでもない。どういうことかと云えば──

 上で赤文字にしておいた書名に注目してもらいたい。しかし、これはただに一冊の本の書名なのではなく、1973年6月21日に典礼聖省が出した典礼に関する一つの規範書の名前なのである。
 ラテン語では「Rituale Romanum, De Sacra Communione et de Cultu Mysterii Eucharistici extra Missam」、英語では「Holy Communion And Worship Of The Eucharist Outside Mass」。

 典礼聖省は、自らが1969年に書き、各国の司教協議会に送っていたその『書簡』を、1973年のその規範書の中に「付録」として掲載したが、その時、元々の『書簡』にあったその部分を〈省略〉したのである。

 忙しくて時間のない人のために、私は自分の確認過程を説明する前に、その「〔中略〕」の部分を復元して見せよう。

 復元部分以外は、ここでは日本の典礼委員会の訳をそのままお借りする。

見よ、各国の司教協議会に “指針” として送られていた
その『書簡』の “元々の姿” はこのようなものだったのである。

4 拝領の具体的方法については、古代教会の伝統が伝えている方針に従うのがよいでしょう。司祭または助祭が、拝領者の手に聖体を置くという伝統的な方法は、司祭と助祭の奉仕の役割をはっきり表しているからです。しかし、私たちはもっと簡単な方法を採用することもできます。それは、拝領者に聖器の中の聖体を直接取らせることです。どの方法を用いるにせよ、信者は自席に戻る前に聖体を拝領し終わるようにしなければなりません。また、奉仕者の役割は、「キリストのからだ」という定句によって強調され、信者はこれにアーメンと答えます。

Bugnini

「どの方法を用いるにせよ」という言葉も、『書簡』の元の姿を知る前と後では違って来る。そこが〔中略〕となっている場合、私達は「どの方法を用いるにせよ」という言葉を聞いて漠然と「手で受ける方法」と「舌に受ける方法」を思い浮かべるであろう。しかし、『書簡』の元々の文脈に於いては、英語訳の一つがその言葉を「In either case」と訳しているように、「手で受ける方法」と「聖器から直接取る方法」のいずれの方法であろうと、という意味だったのである。「舌に受ける方法」の時には、普通、「信者は自席に戻る前に聖体を拝領し終わるようにしなければならない」という注意喚起は必要でないことから見ても、それは明らかである。

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