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マルセル・ルフェーブル大司教 著

『教会がどうなってしまったのか分からなくなってしまったカトリック信者の皆様へのお手紙』

トマス小野田圭志神父 訳

訳者の言葉

今年2001年の3月25日で、ルフェーブル大司教様がお亡くなりになって10年になります。訳者は大司教のお亡くなりになるその1991年にはエコンの神学校で学ぶ神学生でした。

その年の1月16日、まさかそのように早くも逝ってしまわれるとは思いもよらなかったのですが、是非ルフェーブル大司教様に感謝の言葉を申し上げたいと思いました。それ以前にも、大司教様とお話しする機会に恵まれ、ミサの侍者もしたり、一緒のテーブルで食事をしたりさせて貰いましたが、その日は大司教様の霊名の祝日で、ぜひ感謝の言葉を伝えたい、とその願いを消すことが出来なかったからです。

何故感謝するのかというなら、カトリック教会の聖伝の信仰をそのまま何も変えずに、何も妥協せず、そのまま学び、信じ、実践できる神学校は世界広しといえどもここ聖ピオ10世会の国際大神学校だけとなってしまっていたからです。どこかのセクトや淫祠邪教なら「わが共同体に来なければ救いがない」「うちらこそ救いの箱船だ」などというのが常ですが、大司教様は「もしエコンで教えることがカトリックの教えと少しでも違っていると思われるのなら、すぐに出て行きなさい。」と言っておられ、神学校で一番大切なのはカトリックの信仰の遺産だったからです。ルフェーブル大司教様は、私たちに聖なるローマ・カトリック教会への愛、ミサのいけにえに対する信心、教会の教導職に対する忠誠、マリア様への信頼を伝えて下さり、エコンが天から地に降った宝石のように極めて貴重なものに思えたからです。

この聖ピオ10世会の創立者であり、初代総長であり、エコンの神学校を創った大司教様に、是非感謝の言葉を述べたいと思ったのです。

大司教様と神学生の私は朝食の後、面会しました。今でもそのことを覚えています。私が大司教様のお部屋に行ってノックをすると、入ってくるようにと返事をされました。すると、今はもう亡くなってしまわれたシスター・ベデティクタという老修道女が既に先客として大司教様とお話をしていました。シスターが席を外すと、私は大司教様の前に座るように言われました。

私は、大司教様にまず、霊名の祝日おめでとうございますと申しました。そして、大司教様に感謝の言葉を申しました。「エコンが天から地に降った宝石のように極めて貴重なものに思える」と言いました。大司教様は私の拙いフランス語をニコニコと聞いていて下さっていました。「或る意味で教会において信仰の危機があることを天主様に感謝している、何故ならそのお陰で私は大司教様と知り合い、エコンで勉強することが出来たからです」と申し上げると、私の言っていることの意味が分からないような顔をなされ、教会の現状を非常に嘆いておられるご様子でした。

大司教様は私に少し困ったような顔をして「私は何故他の人がみな変えてしまうのか分かりません。私はただ自分がローマの大神学校で学んだことをそのまましているだけなのに。」と言ってほほえまれました。

私は、その時これがルフェーブル大司教様なのだ、と改めて思いました。教会の善をのみ思い、教会のしてきたこと、自分が受け継いだことを、そのまま伝える、他人から何と言われようと忠実に伝える、これなのだ、と。

自分だけの目先の利益を全く考慮せず、常に教会のことを考えていた大司教様の柔和で謙遜なお姿を目にし、直接に接する機会に恵まれたことを天主様に心から感謝します。大司教様のご帰天の10周年に当たり、大司教様のメッセージが私の愛する日本の多くの兄弟の皆様に伝わったらと思い、拙いながら日本語に訳したものを発表したいと思います。このうちの一部は既に「マニラのそよ風」紙の中で掲載されたものです。

この『教会がどうなってしまったのか分からなくなってしまったカトリック信者の皆様へのお手紙』は、既に1984年にフランスで発表されましたが、今でもその力を失わないどころか、現在日本において、よそ事ではなくますます説得力を帯びてきています。

この訳が皆様のお役に立てたらこれほどの喜びは訳者にはありません。この訳に誤りがあれば、それは訳者の至らなさによるものです。読者の皆様のご叱正を承りたいと存じます。

トマス小野田圭志神父

目 次

1.

何故今カトリック者たちは困惑しているのか

2.

私たちの宗教は変えられようとしている

3.

典礼改革

4.

永遠のミサと現代のミサ

5.

それは昔の話

6.

新しい洗礼と婚姻、悔悛と終油の秘蹟

7.

新しい司祭

8.

新しい公教要理

9.

新しい神学

10.

エキュメニズム(宗教統一運動)

11.

信教の自由

12.

友だちと旅の道連れ

13.

信教の自由、団体主義の平等、宗教統一の博愛

14.

「第2バチカン公会議は教会内部のフランス革命だ」

15.

教会と革命との結合

16.

新近代主義 信仰の基礎を危うくするもの

17.

聖伝とは? 

18.

本当の従順と偽物の従順

19.

エコンの神学校とローマ

20.

永遠のミサ

21.

異端でもなく、離教でもなく

22.

家族で出来ること

23.

「作り上げること」 と 「壊し尽くすこと」 との闘い

ご参考までに外部へのリンクですが、

フランス語原文でお読みになりたい方は、ここをどうぞ。
Lettre ouverte aux catholiques perplexes(あるいはここ

英語でお読みになりたい方は、ここをどうぞ。
An Open Letter to Confused Catholics by Archbishop Marcel Lefebvre

韓国語ではここで読むことが出来ます。

(最終更新日:2010年12月31日)

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