日本間で行うミサに関する指針(1969年8月22日)

土屋吉正『ミサその意味と歴史』(1977年、あかし書房)252~255頁より

付 録 五

典礼委員会秘書局 69/68号

日本間で行うミサに関する指針

1 司牧的意義

 宣教や司牧が典礼、特にミサを中心に行われるため、主日や祭日に教会に集まった信者とともに行う小教区ミサを重要視しなければならないが、信者の家庭における各種の集会、聖書研究会、要理研究会などが、ことばの祭儀か、できれば感謝の祭儀を中心にして行われるようになることは望ましいことである。また、病人の信者や、その家族のために、その家庭でミサを行う可能性が具体的に示されることも司牧のうえに有意義なことである。

 このような家庭におけるミサの行われる場が日本間であって、畳の上にすわって集まる集会の形をとる場合、祭壇のために高い机を和室に持ち込むことは無作法でもあり、司祭が会衆から離れた印象を与える。

 したがって、礼拝集会が日本間のようなすわって集まる場で行われるとき、司祭も一同とともに正座してミサを司式することは、司牧上必要でもあり、大きな意味を持っている。

2 和室における司式法の原則

 原則として、新しい「ミサの式次第」(Ordo Missae)および「ミサ典礼書の総則」(Institutio generalis Missalis Romani)を守るが、和室であるから起立することと、中腰になってひざまずいていることはなるべく控え、正座を基本姿勢とし、和室における一般的な作法を守り、和室の設備や調度品を無理のないように役立てる。

3 司式にあたって考慮すべき点

1 

ろうそく、十字架などは、なるべく祭壇になる食卓には置かないで床の間か、違いだななどに置く。

2 

祭服は、たとえばレースのない厚手のスルプリのうえに幅のある短いストラを着け、前で組み合わせない。

3 

祭器、祭具は、総則(290~295)によって認められた種々の材質(陶器、漆器など)を使って、日本間に合うものを作る多くの可能性が開かれている。

4 

司祭が入室する時、会衆がすでに着座している場合、へやに入った所でまず一同に座礼をしてあいさつし、それから一同の中を通ってことばの典礼を司式するためにふさわしい席に着く。

5 

典礼上のあいさつは、司祭の場合も、信者の場合も座礼で行う。物の受け渡しの際も、これに準ずる。

6 

聖書は、神のことばに対する尊敬を表すため、おしいただいてから開くことが望ましい。

7 

祭器、祭具類は右手で取り、左手を添えて扱う。すぐ置く場合も左手を添えて扱ってから置くとよい。

8 

聖書は床の間、違いだな、文机などがあればそこに安置し、そこから奉持して来て朗読することができる。

9 

朗読は、その家の主人が行うことが適している。

10 

説教の前には、司祭は一同にひざをくずすようすすめる必要がある。

11 

ことばの典礼のあと、一同立ち上がって祭壇となる食卓の回りにすわりなおすことは、感謝の典礼へ の移りを明らかにし、足の痛みを軽くするためにもよいことである。

12 

パンとぶどう酒と水は、盆にのせて奉持して来る。司祭はこれを受け取ってわきに置くのがよい。

13 

奉納にはその家の主婦が参加することが望ましい。

14 

祈願、奉献文中両手を広げる揚合、動作が大きくなりすぎないよう、ひじはなるべく胴につけ、手のひらは上に向ける。

15 

祭壇となる食卓にはコルポラーレの上にパンざらとカリスを横に並べて置くのがよい。

16 

奉献文の本は小型のものを用い、パンざらとカリスの手前に置くことができる。

17 

聖別後、ホスチアとカリスを会衆に示した後、両手を軽くにぎって畳につき、祭壇の食卓より少しうしろに退いて深い座礼をするのもよい。

18 

聖体拝領の方法は、へやの状況によって信者が司祭のところに来ることも、司祭が信者のところを回ることもできる。

19 

〔手で聖体を受けることに関しては『聖体を手に授けるための手引』249ページ参照。〕

20 

聖体拝領後、パンざら、カリスなどは盆にのせてさげる。

21 

閉祭のことばの後、一同座礼をしてミサを終わる。

22 

祭服を解いた後、司祭が会衆と同席して話し始めることによって礼拝の場における一致を生活の場に自然に移すことができる。

一九六九年八月二二日

典礼委員会

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