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1.序章

第2章

この霊魂の望みは、神から世の悲惨を示されるとき高まったことについて。

 この望みは大きく、連続したものであった。しかし、第一の「真理」(6) によって、世の需要と、世が動乱と神に対する侮辱とのためにおちいっている危難を示されたとき、さらに高まった。かの女は、その霊的父 (7) から一通の手紙を受け取っていた。そのなかに、神の尊厳に対する侮辱、霊魂の亡び、および聖なる教会に対する迫害による苦しみと堪えがたい悲しみとが述べてあった。以上のすべては、聖い望みの火を掻き立てた。この霊魂のなかには、神に加えられる侮辱について感じる悲しみとともに、神がこれほど大きい悪について配慮してくださるという希望から生まれる喜びがあった。
 そのうえ、聖体拝領のとき、霊魂は、自分と神との緑をもっと心地よく強め、その真理をもっとよく認識することができるので、──そのときは、魚が海のなかにあり、海が魚のなかにあるように、霊魂は神のなかにあり、神は霊魂のなかにあるのだから──かの女は、ミサにあずかるために、早く朝になるのを待ちわびた。その日はマリアの日 (8) であった。
 朝になったので、ミサの時間に、自分の席に着いたが、望みのためにすっかり苦悩し、自分の不完全さに赤面し、全世界に起きているすべての悪の原因は自分であると考え、聖い正義感によって、自分自身に対し、憎しみと侮蔑とを抱いていた。かの女は、この認識により、この憎しみにより、この正義感によって、自分の過失のために自分の霊魂のなかにあると思われる汚れを清めるのであった。かの女は祈った。
 ──ああ、永遠の父よ、わたしは、わたし自身をあなたに訴えます。この過ぎ去る時のあいだに、わたしの侮辱を罰してください。そして、わたしの隣人が負わなければならない苦罰は、わたしの罪が原因ですから、どうぞ、その代りにわたしを罰してください。

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