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4.霊魂の橋

第25章

霊魂は、橋を渡る者と渡らない者とについて話して下さるよう神に祈ることについて。

 すると、この霊魂は、愛の苦悩のなかで、つぎのように申し上げた。
 ──ああ、いとも甘美で名状しがたい仁愛よ、これほどの愛に対して、だれが燃え立たないでいられましょうか。どんな心が、燃えつくされるのを、防ぐことができるでしょうか。ああ、仁愛の深き淵よ、あなたは、あなたの被造物に夢中になっておられ、被造物なくしては生きていられないかのように思われます。けれども、あなたはわたしたちの神です。あなたにとってわたしたちは少しも必要ではありません。わたしたちの善はあなたの偉大さになにも加えることができません。あなたは不動だからです。至高かつ永遠の「善性」であるあなたに対して、わたしたちの悪はなんの害も加えることができません。それではなにが、あなたをこれほどのあわれみに駆り立てるのでしょうか。愛です。あなたがわたしたちに対して負っている義務ではありません。あなたにとって、わたしたちが必要なのではありません。わたしたちこそ、あなたに対して、義務と負債とがあるのです。
 わたしの理解が正しいとすれば、至高かつ永遠の「真理」よ、盗賊はわたしです。ところが、あなたがわたしの代わりに罰せられるのです。「みことば」、あなたの「おん子」が十字架にしばりつけられ、釘づけにされているのが見えます。あなたは、あなたのみじめな使い女であるわたしに示してくださったように、この十字架を橋にしてくださいました。これを思うと、わたしの心は張り裂けます。あなたに対する飢えと望みとによっても張り裂けないのに。あなたが、この橋を渡る者とはどういう人々であるか、また、これから遠ざかる者とはどういう人々であるかを、わたしに示したいと望んでおられたことを、思い起こしてください。あなたの「いつくしみ」が、これを示してくださるおぼしめしでしたら、わたしにとつて、それを見、それをあなたからうかがうのは、どんなに仕合わせなことでしょう。

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