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8.完全な愛

第81章

悪魔はどのように栄光と賛美とを神にささげるかについて。

 この世で、悪人がわたしのしもべたちの善徳を増強する役目を果たすように、悪魔も、地獄で、わたしの刑吏の役目、増強者の役目を果たす。悪魔は、亡びた人々に罰を加えるし、この世で、最終目的である「わたし」に到達するために遍歴しているわたしの被造物の善徳を増強する。悪魔は、多くのいやがらせやさまざまの誘惑を使って、かれらの善徳を練りきたわせるし、ある人々にかれらを侮辱させ、あるいはまた、かれらから盗み取らせる。それは侮辱または盗みによる害だけをめざしているのではなく、かれらから仁愛を奪うことをめざしているのである。悪魔は、これによって、わたしのしもべたちから奪おうと考えているが、実は、かれらの忍耐と力と堅忍との徳を強化し、証明している。
 したがって、悪魔は、わたしの名に栄光と賛美とをささげるし、かれらにおいて、わたしの真理が成就する。わたしは、永遠の「父」であるわたしの栄光と賛美とのため、そしてまた、かれらにわたしの美を分け与えるために、かれらを創造した。しかし、かれらは、傲慢によってわたしに謀叛して、わたしを見ることができなくなった。しかし、永遠の「真理」であるわたしは、かれらを、わたしのしもべたちの善徳を練りきたえる道具となすとともに、自分自身のあやまちによって永遠の亡びに落ちる人々、または、煉獄の苦しみを通る人々に対する刑吏となしたのである。あなたもわかるように、わたしの真理は、かれらにおいて、真実に成就する。かれらは、永遠の生命の市民としてではなく、──なぜなら、そのあやまちによってこれを失ったから──しかし、わたしの刑吏として、わたしに栄光をささげる。わたしは、かれらによって、わたしの正義を、亡びた人々と煉獄の霊魂とに対して示すのである。

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