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10.光明と分別

第97章

この霊魂が感謝と三つの願いとをささげることについて。

 すると、この霊魂は、涙の諸状態に関して授かった説明と満足とのゆえに、果てしない望みに悩まされ、愛に満ちて、申し上げた。
 ──ありがとうございます。ありがとうございます。永遠にしていと高き「父」よ。あなたは聖なる望みを聞きいれてくださり、わたしたちの救いを熱望してくださいます。あなたは、わたしたちがあなたに反抗していたとき、愛によって、「愛」を与えてくださり、あなたの「ひとり子」を、わたしたちにつかわしてくださいました。あなたの熱烈な仁愛の淵にかけて、恩寵とあわれみとをお願い申し上げます。清浄と光明とのなかで、みもとに参りとうございます。暗黒のなかをさまよわないように、あなたの「真理」の教えの道を走らせてください。あなたは、この教えこそ真理であることを、はっきりと示してくださいました。しかし、わたしは、おちいる恐れのある二つの迷いについて心配しています。永遠の「父」よ、種々の状態に関するお話を終わる前に、これについて説明していただきとうございます。
 第一は次のことでございます。ときどき、だれかが、わたしあるいはあなたの他のしもべに、あなたに奉仕する方法についてたずねることがあります。そのとき、どのような教えを示したらよろしいでしょうか。たしかに、おやさしい永遠の神よ、あなたは、「わたしはわずかの言葉と多くの行為とを好む」とおっしゃって、これについて説明してくださいました。しかし、あなたの「いつくしみ」によって、もう少し説明していただければ、まことにしあわせでございます。
 事実、わたし自身、あなたの被造物のため、とくにあなたのしもべたちのために祈るとき、この祈りのあいだに、ある者は立派な心構えをそなえた精神をもち、あなたをたのしんでいるように思われ、他の者は、暗黒にとざされた精神をもっているように思われます。その場合、永遠の「父」よ、一方は光明のなかにあって、他方は暗黒のなかにいると判断することができるでしょうか。あるときはまた、大きな苦業をおこなっている者とそうでない者とを見ることがありますが、大きな苦業をおこなっている者は、これをおこなわない者よりも、高い完全性に達していると判断すべきでしょうか。わたしが自分の考えにまどわされないために、あなたが全般的にお話しくださったことを、もっとくわしく説明してくださるようお願い申し上げます。
 ご説明をお願いしたい第二の点は、永遠の神よ、あなたが霊魂をおとずれるとき、それがまことにあなたのおとずれであることは、どのようなしるしで認識することができるかということであります。わたしの記憶にあやまりがないとしたら、永遠の「真理」よ、あなたは、そのようなとき、精神は喜びを保ち、善徳に対するはげみを与えられると言われました。わたしが知りたいのは、この喜びは霊的自愛心の錯覚ではないかということでございます。そうだとしたら、善徳のしるしだけに愛着したいと思います。
 これがお願いしたいことでございます。それは、真理において、あなたと隣人とに奉仕し、あなたの被造物とあなたのしもべたちとに対して、誤断におちいらないようにするためであります。なぜなら、このような判断は霊魂をあなたから遠ざけるように思われるからであります。わたしはそのような不幸におちいりたくはありません。

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