第50章

諸天使及び諸聖人の取次ぎを以て黙想し且つ祈祷する方法

 祈祷の時に、諸天使及び諸聖人の保護と恩恵とを利用するために、左の二つの勤めを守るがよい。

 第一。我等の精神を永遠の父に上げ、これに天使聖人より受け給う愛情、賞讃、光栄を捧げ、また諸聖人が地上に於て神を愛するために忍ばれた困難苦痛を捧げ、これらの功徳を以て神の威稜に祈り、我等に欠けてあるところのものを与えて下さるように願わねばならぬ。

 第二。光栄を蒙られたる諸天使諸聖人に向って、我等の徳に達し、而も完徳の頂上に達せん事を欲するものなれば、我等の敵、及び我等の欠点に対する扶助を仰ぎ、なかんずく臨終の時に、我等を護って下さるように祈らねばならぬ。

 ある時はまた聖人が最上至尊の神より受けられた、特別にして豊かなる恩寵を考えて、この珍しき賜物につき、非常なる愛情と歓喜とを起し、あたかも己れに与えられた如く、嬉しがらねばならぬ。

 なるべく何処までも私の念を去って、聖人が自分よりも多く恵まれたのは神の思し召しであるからこれを喜び、神に対してこれに相当の賞讃と感謝とを表さねばならぬ。この勤めを一層容易く行う為、順序を立て、左の通り一週間の日によって、天使聖人の組を分けても良い。日曜日には九隊の天使、月曜日には洗者聖ヨハネ、火曜日には聖祖、及び預言者、水曜日に使徒、木曜日には殉教者、金曜日には司教、公奉者、及びその他の聖人、土曜日には童貞、及びその他の聖女を敬う事。しかしながら一日に時々、諸聖人の元后なる聖母マリア、我等の守護の天使、大天使聖ミカエル、及び我等の凡ての保護なる聖人に、祈らずして一日も過してはならぬ。

 また毎日聖母マリア、その聖子、及び永遠の父に祈り、尊き童貞の浄配なる聖ヨゼフを、守護、及び主[おも]なる取次ぎ者として、我等に与えて下さるように願い、それから信頼を以てこれに依り頼み、我等をその尊き保護の下に置く事を願うがよい。

 この光栄なる聖ヨゼフについては、種々珍しい話があって、深き信心を以てこれに依頼した者は、その精神上の入用に於ても、また現世の必要に於ても、なかんずく祈り、及び黙想に於て、その取次ぎを以て、夥しく大いなる恩恵を求め得たのである。

 神が、これに尽すべき服従と尊敬とを生涯尽した聖人達の勲功[いさおし]を斯くまで報い給うなれば、その謙遜の深かりし程、その光栄の大いなる聖ヨゼフを、如何ほど尊重し給うかは、自ら地上に於てこれを父とし、これに帰服し、これに仕え、これに従うほどにまで、尊重し給いしを以て知るべしである。今や神の尊前にて、聖ヨゼフの取次ぎの価値は幾許[いくばく]なる筈であるか。

ページに直接に入った方はこちらをクリックして下さい→ フレームページのトップへ
inserted by FC2 system