第53章

聖体の秘蹟

 これまでは敵に勝つが為に必要なる四つの主なる武器を持たせて、これをよく用うる事を学ぶに、大切なる教訓を与えたが、尚一つ、わざと残したものがある。それは聖体の秘蹟である。

 この神聖な秘蹟は、他の六つの秘蹟の上に位しておるが如く、この第五番目の武器として、他の四つの武器よりは遥かに勝る力のあるものである。

 前に述べた四つの武器は、イエズス・キリストがその御血を以て我等の為に求めて下さった聖寵によってその勢力を得るのであるが、今やここに云うところの武器は、イエズス・キリストの御肉身、御血、御霊魂であった全く神性そのものである。

 前の四つの武器では、人がイエズス・キリストの扶助によって敵と戦うのであるが、第五番目の武器では、イエズス・キリストが自ら我等と共に戦い給うのである。何故なれば、御約束の如く、イエズス・キリストの肉を食し、その血を飲む者は、イエズス・キリストに住み、イエズス・キリストもまた、その者に住み給うのであるから。

 この秘蹟、この武器は、これを用うるに二つの道がある。一つは秘蹟的にして一日に一度、他の一つは精神的にして時々刻々用うることが出来る。故にこれを忽せにしてはならぬ。精神的にはしばしば、秘蹟的には出来るだけ度々、これを用いねばならぬ。

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