第60章

糾  明

 糾明に於て考うべき事三つあり。第一、当日の過失、第二、その機会、第三、これに打ち勝つため、またこれと反対の徳を求むるために為すべき決心、これである。

 当日の過失については、本書の第二十七章に勧めた事を守らねばならぬ。

 過失の機会となったものを認めた時には、これを退け、再び来たらぬように努めねばならぬ。

 これを退けるために、また反対の徳を求めるためには、堅固なる意志を要す。意志を堅固にするためには、己れに頼まず、神に信頼し、祈祷を勤めて罪を憎み、徳を求むるように、始終注意せねばならぬ。

 よく用心して、既に得た勝利、また行った善業など夢にも誇らず、これにあまり気を止めぬがよい。何故なれば、虚栄、あるいは自慢の危険が、そこに潜んで、避け難くなるからである。

 故に、凡て我等の行った善業は、これを神の愛憐に委ねてしもうて、以後為すべき事がまだまだ沢山あると思わねばならぬ。

 当日神より受けた恩恵のために感謝すべき事については、先ず神を萬善の源なりと認め、次に、顕わなる、もしくは隠れたる多くの敵より、我等を救って下さった事を謝し、終に、善念を起こさしめられた事と、知らず識らずの間に数多の恩恵を頂いた事との為に、感謝の意を表さねばならぬ。

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