第17

神の全能の観念

 誰でも知っている通り、世の有力者をこぞっても、材料なく、またこれを組み立つるに建築の原理なければ、国家の都会を造るどころでなく、一つの家だに造る事は出来ぬのである。その上になお空間も時間も要る。而してこれが皆揃うたとしても、建物が立派に己れの目論みに合うことはない。然るに神はその全能のみにより、瞬間に無より萬物を造り給うたのみならず、これと同様に、造作もなく無数の世界を造る事も出来れば、これらを亡ぼして無に帰する事も出来たのである。この観念を黙想すればするほど、益々斯く全能なる神を愛する理由を新たに見つけるに相違ない。

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