第18

神の全智の観念

 神の智恵は如何ほど高崇にして、如何ほど無量なるかを、覚り得るものであろうか。

 いささかでもこれを想像するに、目を上げて、上天の華美を仰ぎ、また地上の奇なる事を眺め、全世界の萬物の妙なる事を考えよ。この不思議な事を解するには、ただ造物主の、量られざる全智を以てのみ、知るべきものである。

 次に人間の生涯を考え、これに伴える場合、または境遇を考うれば、いささかなる事でも、乱雑に見ゆるものでも、神にとりては、実に不可思議なる智恵より、出でざるはなし。

 而して尚、世の贖いの妙理を考うれば、これこそ最も高崇なる全智を、全く現すものである。聖ポーロの言葉に、「嗚呼、広大なるかな、神の富と智恵と知識とは。如何にもその判定は覚り難く、その道は極め難し」と(ローマ書十一章三十三節にあり)。

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