第25

意志に得さすべき第五の助力

 意志に得さすべき第五の助力は、自己を嫌う事である。それでなければ、萬善の元なる神に対する愛を惹き起す事は出来ぬ。

 この助力を求める方法は、先ず神にこれを願う事である。次に、自愛が既に生じて、また日々に人の心に生ぜしむる悪しき成跡〔=結果〕を考えねばならぬ。この世でも後の世でも、禍害は如何なる禍害でも、自愛より出でざるはなし。

 己れを愛する、即ち自愛の及ぼす害は甚だしくして、もし天国にでも入り込むことが出来るならば、かの天のエルザレムを以て、程なく罪に充てるバビロネの如く為すに至らん。こう云うのは即ち、今世に於て自愛が人の心に及ぼす悪しき結果を以て云われるのである。もし自愛がこの世で無く成るものならば、地獄の門は閉されん。

 然らば人が、自愛は如何なるものであるか、如何に人の霊魂を滅亡に至らしむるかを知った以上、この自愛を憎まずに居られようか。もしこれを憎まぬならば、自ら己が敵になる。

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