第32

不幸にして貞操に反する悪徳に負けた時には何を為すべきか

 もし不幸にして、あるいは悪心の為に、貞操に反する何かの過失をした事があって、過失に過失を重ねざらん事を望むのならば、早く別に糾明を要する事もなく、改悛の秘蹟に依頼せねばならぬ。ここに於て憚る事なく淡白に、その罪を悉く告白して、与えられる薬と示される教訓とを、如何に苦く、如何に辛く見えても、これを承諾して受けねばならぬ。左様にするには、如何なる理由、また如何なる口実[かこつけ]の下にも、決してこれを延ばしてはならぬ。延ばすとまた新たに落ち度を為すようになり、その落ち度がまたまた事を延ばさし、而して落ち度したり、延ばしたりして、終に良心に夥しき罪を帯びながら、告白もせず年月を経るに至る。

 然れば貞操に反する悪徳に対して結論すべき事を、飽くまで繰り返して言うが、即ち落ち度を逃れるには、是非とも逃げねばならぬと云う事である。

 心に起る悪念については、たとえ軽少なるものにしても、あるいは自分の経験によって軽少であると思う理由があっても、悪念の極まるものと同じように、速やかに防がねばならぬ。これも告白して、霊魂の医者には、悪魔の謀り事を明かすがよい。

 もしまた不幸にして、何かの誘惑に負ける事があったならば、程なく告白して、決して無実の不面目の為に止められてはならぬ。

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